「海の中に人の原点がある。海水がなければ人間やそのほかの生物は無かった。すべての命は海から。塩は命の源。人の体を流れている血液は塩。人の暮らしに、体に欠かせないもの。だからこそ古来からの製法で作られた塩を、自然の形で摂ってほしい。海の恵みである塩。ものが豊かになってそのことを忘れないでほしい。」
塩づくりの始まりは、荊尾さん60歳の時。「都会の子供さん達に、自然豊かな大田市の素晴らしさを、地域の伝統的なものを通して体験してもらいたい。」そんなふるさとを愛する想いから、同級生の方など、男女10人でスタートされたそうです。
塩炊き小屋
「静間ふるさと交流倶楽部」手書きの看板が出迎えてくれます。昔は、それぞれの地域で、塩を作っていたそうです。
小屋の周り
塩焚き釜に使う木材は、古い家屋の柱や電柱など、廃材を使っています。暮らしの中で、最後まで物を大切に、有効活用する。昔の人はずっとそうしてきました。
小屋の中の様子
多くの塩を焚くためではなく、子供達に体験してもらうのに、丁度よい広さを保つためにと、塩焚きの釜は2基。 効率よく作業できるように考えられています。 右と左の釜はそれぞれ役目が違うそうです。よく見ると左右の釜の高さが違うのです。
整理された道具達
以前は多くの子供達が、ここで塩焚きの体験をされたそうです。体験用の小さな鍋が子供たちの笑顔に見えてきます。
海からの恵み
海藻を集め、煮詰めて藻汁にし、塩に混ぜます。見せていただいた海藻の表面には塩がついています。古代の人はこれを見つけて塩づくりを始めたのでしょう。
そばの海岸には、市の天然記念物にも指定されている「静之窟」があります。 ここは出雲神話において 大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)が国造りの際、国造りの策を練るため仮住まいとしたという言い伝えが残っているそうです。 ここ静間にはそんな歴史や物語があるのです。
注)現在は落石の恐れがあるため、中には入ることはできません
(令和6年9月撮影)